椎間板ヘルニアとは
椎間板ヘルニアは、椎間板の線維輪や髄核が脊髄や神経根を圧迫することによって起こる症状です。
椎間板と中心部の髄核は車で言うところの「衝撃吸収ボディー」にあたります。
背骨(頸椎、胸椎、腰椎等)に加わる力は、椎間板と髄核に分散されることで、脊髄や腰の下部に存在する馬尾神経を守っているのです。
椎間板にとっての最優先事項は脊髄や馬尾神経を守ることです。
そして髄核は水分の多いゲル状の組織で、柔らかくて衝撃をすばらしく吸収してくれるのです。
しかし、無理をしたら、衝撃を吸収しきれずに、壊れてしまします。
わかりやすく例えて言えば、饅頭の外側の白い部分が弱くなり、中のあんこが、白い外側の皮から出てくるというような状態になり、その出てきたあんこが、饅頭の外においてあった重要な書類などに触れてしまったようなことなのです。
線維輪を饅頭の白い部分、髄核をあんこと思ってください。
このようにして椎間板に力が加わり、衝撃を吸収し続けて、線維輪の抵抗性が減弱し、そこにさらに力が加わりその圧力に線維輪がついに抵抗できなくなったときに髄核が突出する訳です。
これが、ヘルニアです。
そして、その飛び出たヘルニアが末梢神経に触れて、手にしびれや痛みがでたり、腰から足にかけて坐骨神経痛などの症状が出たものが、椎間板ヘルニアのつらい症状というわけです。
ヘルニアが、なぜ鍼灸治療で改善されるのか
それは、鍼灸治療により、「椎間板の線維輪の修復」と「髄核の自然吸収」を促進させるからです。
なぜ、椎間板の線維輪が修復され、髄核が自然に消失するのかと言えば・・・。
椎間板ヘルニアの鍼灸の説明前の注意事項
ここでは椎間板ヘルニアに対する鍼灸治療の効果に関する院長見解を述べさせていただいております。
また、椎間板ヘルニアに対する鍼灸治療の技術説明は割愛させていただきます。
なぜなら、
椎間板ヘルニア鍼灸治療は、非常に超高度なテクニックを必要としますので、実際の鍼の操作をこのホームページで明らかにすることはできません。
過去のホームページでは少し公開していたのですが、この超高度な鍼灸テクニックを十分に理解せずに見よう見まねで実行して病状が悪化した方などが現れたために、公開を中止いたしました。
椎間板ヘルニアに対する鍼灸の必要性に関する院長・高野義道の具体的見解
椎間板ヘルニアに対する鍼灸治療では、特に痛みに対しての効果が期待でき、日常生活が普通に送れるようになるためのバックアップをさせていただきます。
鍼灸でマクロファージを増やす!?
ヘルニア(髄核突出)は数ヶ月で白血球のマクロファージにより吸収されることが多いので、鍼灸治療を続けながら、普段から椎間板に無理をかけないような生活をすることで線維輪の修復を促進させ、髄核が吸収されるのをじっと黙々と待つ事が必要不可欠となります。
鍼灸治療が様々な科学的研究により自律神経系や免疫系に強い影響を与えることは今や周知の事実です。
怪我でも同じことが言えるのですが、鍼灸治療により軽い傷ができると、体は外界に存在する菌などの感染にさらされます。
そうすると、自動的に「免疫細胞である白血球」の製造を開始し、菌などから体を防御する体制を整えようとします。つまり細菌などに対する迎撃態勢が強化されるのです。
ここでカギになるのが、白血球の一種であるマクロファージも増えるということです。ヘルニアの存在する付近に鍼治療を施し、キズを付けると、ヘルニア付近の創傷を感染から守ろうとする作用が起こり、マクロファージを含む免疫細胞がヘルニア周辺に送りこまれてきます。
そのついでに、飛び出たヘルニアをマクロファージに退治してもらおうというのが、当院の鍼灸治療によるマクロファージ増量作戦です。
また、鍼灸治療を丁寧に行うと、刺激の受容装置の一つである「ポリモーダル受容器」にうまく刺激を入力させることできるので自律神経の機能を安定的にさせることにもつながります。
自律神経の安定は白血球の顆粒球とリンパ球の状態を安定させますので、ヘルニアを食べる(吸収する)白血球のマクロファージの働きも安定的にさせると考えられます。
(一言)
白血球は骨髄で生成されます。鍼をして組織に傷が付けられると、その反応としての免疫細胞の増加すなわち「骨髄の造血作用」がの促進されます。このように鍼灸治療をすると生理現象としての「もの凄い働き」が自動的に発動されるのです。この事から、鍼灸治療は免疫細胞を必要とする風邪等の様々な疾患にも大いに役立つ治療であると言えるのです。
鍼灸で椎間板を丈夫にする!?
この椎間板ヘルニアでは、しびれや痛みのために常に体がリキみ、背骨周囲にも無理がかかり過ぎるために椎間板ヘルニアとは別な筋肉痛、神経痛も起こっていることが考えられます。
分解すると以下のように大別できます。
- 椎間板ヘルニアによるしびれや脱力感
- 椎間板ヘルニアの苦痛(反射的に筋肉が硬く緊張する)に耐えることで起こる更なる筋緊張・硬化から出る痛みしびれ
通常①②は同じものとして捉えますが、当院では分けて考えます。
※通常の教えでは②は無視されていることが多いです。
なぜこのように分けられるのかと申し上げれば、それは私どもの鍼灸治療の経験上、ヘルニアはそのままなのに、痛みはある程度とれて日常生活が普通に送れるようになったという方が多数おられたからです。また、脱力感も痛みが楽になり動きやすくなるのと同時に再び筋力も上昇するために改善されるようです。
このようなことから、医学的な根拠はありませんが、私見として、しびれや脱力感は椎間板ヘルニアによりますが、痛みは椎間板ヘルニアの苦痛(反射的に筋肉が堅く緊張する)に耐えることを原因とした筋緊張から起こる痛みと筋緊張による神経の締め付け(神経絞扼)による神経痛もかなり強いのではないかと感じております。
椎間板ヘルニア自体つらい疾患ですが、特に痛みの場合、椎間板ヘルニアの随伴症状としての痛みがある場合はもっともっとつらくなり、これが生活の質(QOL)をかなり低下させる一因となるのではないかという仮説に基づいて、②の症状に対する鍼灸治療を中心行います。
この、②の症状に対する鍼灸治療を徹底的に行うことで、椎間板が丈夫になるものと考えられます。
繰り返しますと、
椎間板ヘルニアの鍼灸治療では、「椎間板の線維輪の修復」と「髄核の自然吸収」を促進させる必要があります。
髄核の自然吸収には、前述のマクロファージ増量作戦がその任に当たります。
そして、「椎間板を丈夫に!!」にするには、②の症状の改善が最優先的に必要不可欠な重要事項となります。なぜならば、筋肉の状態が健康で柔軟性に豊み、血行も良好になれば、椎間板と髄核にかかる力を筋肉が受け止めてくれるからです。つまりその無理な力が分散されることで椎間板と髄核への負担が軽減され、そうすることではじめて椎間板が元の健康な姿に戻ることができるのではないか推論できるのです。
だからと言って筋肉をつけようとして鍛えることは絶対に避けてください。
ヘルニアがあるということは、動き過ぎが原因で筋肉を弱め椎間板に無理をかけたために起こっているのですから、椎間板が健康になっていない状態での筋トレは火に油を注ぐ状態になってしまう訳です。
また、痛みのあるようなときに筋トレを行ったとしても、はっきり申し上げて筋肉は付きません。悪化し逆に弱めることにもなりかねません。日常生活もままならないのにトレーニングを行うことは本末転倒とも考えられます。
まずは、日常生活が普通に行えるようになることを優先すべきではないかと思います。
筋力は痛みが取れてくるに従い自然と付いてきます。それは地球には重力があるからです。
言い換えれば、健康を取り戻すにつれて地球の重力という「おもり」に対抗できるようになりますので、自然と筋力もアップするのです。地球の重力がいかに筋肉に影響しているのか?それは、地球に帰還したばかりの宇宙飛行士が地上で歩くのもままならない姿を見れば明らかです。
鍼灸治療による軽い組織への破壊(軽い傷)は、危険からの逃避反射を誘発します。逃避反射により自律神経の副交感神経刺激が起こり、筋肉などの末梢組織の血液循環の促進などが誘導され筋肉の緊張が緩みます。
副交感神経の刺激は、要するに交感神経緊張を緩和させます。ちなみに交感神経緊張症状(腰痛、肩こり、食欲不振、高血圧、痔、頭痛、冷え症など)こそが一般にいう「ストレス」状態ですから、この鍼灸治療は副交感神経を刺激するためにこれらストレスやストレスからくる様々な症状を緩和させるということにもなるのです。
このようにして誘発された副交感神経反射は、順次免疫反応にも影響を与えることになるのです。
鍼灸治療によりある程度楽になったとしても、放っておくと再び症状が出始めることも十分に考えられます。また、無理を続けると椎間板の線維輪も髄核も一向によくなりませんので安静が必要です。
お仕事などで日常的に患部に無理がかかっているような場合は、どうしても、患部に力がかかりますので、こまめな鍼灸治療を行い患部の筋肉の循環不良を抑制し、痛みがない状態を維持させることが結果的に筋肉の柔軟性や筋力を維持向上させることになります。
「患部にかかる力をまずは筋肉に受け止めさせることで椎間板の線維輪や髄核への圧力集中を防ぐこと」が非常に重要となります。
なお、①に対する鍼灸治療は、前述のマクロファージ増量作戦がその任に当たります。
鍼灸治療の頻度について
1)症状が続く時
基本的には、患者様のストレスにならない範囲での通院頻度で構いませんが、
もし、よろしければ、症状の続く間は、できるだけ毎日行った方が回復は早まります。
県外から通院される方であれば、宮崎市内に宿泊して「一泊二日」や「二泊三日」の集中治療をすることも例として挙げられます。また、1日2回治療を受けられるのも良いでしょう。
回復の状態が良好であれば治療日の間隔を徐々に広げていきます。黙々と鍼灸治療を積み重ねるという方法しか痛み緩和の方法はありませんので何卒ご理解ください。ただし、ヘルニアの鍼灸治療では治療後に痛みが返って激しくなることがあります。これは実際につらいのですが、それも治療の経過ですので心配はありません。しかし、不安な方には次回の治療時に鍼灸刺激の量を減らすなどして調整をします。不安でなければ、同じ刺激量での治療を続行します。
2)症状が改善したあと
痛みが取れた後は、「4日~14日に1回程度の定期的な治療」をおすすめ致します。
しかし、定期的な治療をするのかどうかはご本人様のご都合に沿って、ストレスのかからない範囲内で取り組んでいただければと存じます。
※)ヘルニアの存在する期間が長期に渡り、神経細胞への圧迫も長期間続いているような場合は、髄核が吸収されたとしてもこれまで圧迫されていた神経細胞が変性していることもあります。この場合は、しびれ、麻痺、脱力感などの症状は後遺症として残ります。
用語説明
引用
★ 椎間板
椎間板は頸椎から仙椎までの椎体を連結し、脊椎の安定性を維持し支持組織としての役割を担っています。またそればかりではなく椎間板は運動性を担い、荷重や衝撃の吸収、緩衝といったクッションの機能もはたしています。
この椎間板は大きく分けて髄核と線維輪からなりたっています。髄核とは水分の豊富なゲル状の組織で軟骨細胞・膠原線維・水分の豊富なムコ多糖蛋白複合体(プロテオグリカン)からなります。また線維輪は髄核を包み込むように存在し、脊椎骨を強固に連結しています。膠原線維を含む線維軟骨が主成分で弾性に富む丈夫な組織です。★髄核
椎間板の中心部に近づくにしたがってコラーゲン線維の配列は次第に疎になり、ついには細い線維が疎に、不規則に配列し、その間に軟骨細胞の小群と、不定形の腔所とを含むゼリー状のコラーゲンの組織となります。この部を髄核と呼びます。
§ 髄核は、椎間板の中心部の30-50%に位置している。
§ 胎生期の脊索の遺物といわれる。胎児の椎間円板中には、この部でとくに太くなる脊索が明瞭である。成人でも髄核組織の一部が脊索の遺物にあたる。
§ 髄核は脊索細胞、軟骨組織とゲル基質からなる。
§ 水分を多量含み(70-90%)、弾力に富む。
§ 基質はアグリカンと弾力性に富むII型コラーゲンが主な構成要素である。
§ 髄核は硬い線維輪の中にあって、あたかも水枕のように作用し、圧をすべての方向に分散させるとともに、屈伸に向かって若干おしつけられる。
§ 線維輪断裂による髄核の脱出が、突出型のヘルニアである。
§ 髄核が脱出した周囲は炎症が強く、白血球中のマクロファージの働きが活発になり、ヘルニアを異物とみなし、次第に吸収される。
§ 脱出した髄核は数ヶ月で吸収されることが多いので、通常は保存的加療で症状がおさまる。
参照元:痛みと鎮痛の基礎知識 - Pain Relief ー脊椎
どんな方が高野鍼灸の椎間板ヘルニアの施術を受けに来られる?
① 日本人の約90%以上が採用する治療方法や民間療法「手術、注射、痛み止め薬、電気治療、けん引、運動、ストレッチ、テーピング、コルセット、温泉、マッサージ、整体、カイロ、等々」で、ヘルニアの痛みが改善せずに苦しんでおられる方。
② 医療機関において「手術」を進められているがご本人の何らかの都合により、受けられない方。
③ 手術をしたが、慢性的な痛みが残り、苦しんでおられる方。
④ もちろん最近ヘルニアになったという方でも治療はできます。
★ 痛み緩和の最終手段としての鍼灸施術を、ぜひ、お試しください。
当院の椎間板ヘルニアによる痛み緩和の最終手段としての鍼灸治療では、
一般的なヘルニア治療や、巷にあふれかえる民間運動方法などによる痛み緩和などの、いわゆる常識的な概念による治療で治らなかった方に対して、「非常識」とのレッテルを貼られるかもしない独自の概念により治療致します。
ほとんどの方は通常の常識的な考え方による治療で良くなるのかもしれませんが、
それらで良くならなかった方の場合は、普通でないものの考え方を当てはめて治療をしなければもはや健康は取り戻せません。
治療の流れ
- 初診の患者様は、問診票へご記入をお願いします。
- 現在の症状などを、詳しくお伺いします。
- 鍼灸施術に必要な徒手検査を行います。
- 問診・検査に基づいて鍼灸施術を行います。
- 鍼灸施術後の過ごし方やその他注意点の説明等を行います。
- 院長執筆「脊柱管狭窄症の詳しい病態」及び「生活指導書(院長声明)」を手渡し致します。
- 6の資料に沿った規則正しい生活を送って下さい。症状回復には規則正しい生活が絶対条件となります。
椎間板ヘルニアに必要な3点セット
- 鍼灸施術(超高度鍼灸テクニック)
- なぜ脊柱管狭窄症になるのかの「真実の理解」
- 院長声明に記載している生活上の注意点を守ること
- 2、3 は、院長執筆の独自資料です。
- 院長執筆・独自資料は、治療終了後、受付にて直接「手渡し」させていただきます