まず、頚椎症に対する鍼灸施術の結果報告
【超音波エコー】を用いたブライト鍼灸(見える鍼灸)で症状が全て消失!
最大の痛み・しびれを10とした時に、「10→0」と緩和しました。
主訴
頸部(首)、肩、左背部の疼痛、左上腕から左母指・左示指にかけてのしびれ。
医師による診断名
頸椎症性神経根症
※頸部MRIおよびX‐ray Photograph:X-Pによる医師の診断
現病歴
半年ほど前に2回続けて寝違いをした後、左肩に違和感を感じるようになった。
その3か月ほどして左肩甲骨の内側に鈍い痛みが出だし、整形外科で首のレントゲンを撮影したところ、医師の診断で骨棘(骨にできるとげ)できC5/6(頸椎の5番と6番の骨の間)が狭くなっていると言われた。
左肩甲骨内側の疼痛が激しい時は肩を回すと楽になるためその動作をとるようだが、痛みが激しい時ほど左背部付近のゴリゴリ音が増加するという症状も見られる。
2ヶ月程度、けん引やSSP、干渉波などをしたが、あまり変わらなかった。
整形外科での治療を開始後1カ月経過した頃以降、時々、左上腕外側に「ズキっ」とした1秒位の瞬間的な痛みが出現。この瞬間的な痛みは、寝返り時常時出現。また立位では左前腕の下半分から左指の母指、示指にかけてのしびれも出現。
さらに症状の悪化時には左中指のしびれも出現。
そこで別の整形外科に転院しレントゲンとMRIを撮影したところで、主治医より頚椎症と診断を受ける。
医師によると頸椎症性脊髄症か頸椎症性神経根症かは不明だが、症状が左上肢のみなので最終的に、頚椎症性神経根症だろうと医師診断名が下された。
そのまま整形外科にて加療するも良くならないので、整体に行ったところ「4回位で良くなる」と言われたが、1か月半で10回行っても好転することはなかった。
特にしびれの変化が全くなく当院への来院となった。
頸椎症の鍼灸治療開始
医師の診断名:頸椎症性神経根症に基づいて鍼灸治療を開始した。
- C4/5,C5/6,C6/7,C7/Th1の椎間関節周囲の通電置鍼1Hz・15分および温灸(C5/6が特に重要)
- 前斜角筋及び中斜角筋間の腕神経叢周囲のエコーガイド下ファシアリリース鍼、置鍼15分および温灸(C6頸神経が特に重要)
- 左背部最長筋へのエコーガイド下ファシアリリース鍼、置鍼15分および温灸
- 左背部上後鋸筋トリガーポイントへのエコーガイド下ファシアリリース鍼、通電置鍼1Hz・15分および温灸
- 最長筋乳様突起停止部の置鍼および温灸
- 上肢の主要筋に対するファシアリリース、置鍼および温灸
- 頸肩部の主要筋に対するファシアリリース、置鍼および温灸
- 肩甲骨に付着する主要筋に対するファシアリリース、置鍼および温灸
- 置鍼中は、遠赤外線を照射しての電気的灸頭鍼を15分間施行
使用した医療器材
- 使い捨て鍼灸針 直径0.16×長さ39㎜
- 使い捨て鍼灸針 直径0.20×長さ39㎜
- 使い捨て鍼灸針 直径0.20×長さ40㎜(エコー使用時:JSP)
- 棒灸
- 円筒灸
- 低周波通電装置 1Hz 15分
- 遠赤外線治療器 15分
- 超音波エコー画像観察装置:キヤノンメディカルシステムズ(旧TOSHIBA MEDICAL)社 Xario 100 Platinum Series
経過
- 3回目、左肩から左指にかけてのしびれはあるが、それ以外は調子良い。
- 5回目、今まで痛み止めを服用しても全く痛みの緩和がなかったが、鍼治療で症状が改善してきたためか、整形外科で処方されている痛み止めが効きだした。
- 7回目、朝の「キリッ」とする痛みが緩和し始めた。
- 8回目、「ズキズキ」する痛みは楽になってきたが、しびれはある。また、痛みの最も痛い部位が左背部から左僧帽筋上部線維に移った。
- 9回目、痛みは楽になっているが、仕事を我慢してしていると、痛みが増す。
- 10回目、痛みの強い場所が再び左背部に移った。
- 11回目、左上腕の痛みが少し緩和。
- 12回目、前回の治療後4日間調子よかったが、4日目の今日の夕方になり痛みがリバウンドした。
- 13回目、左母指・左示指のしびれはあるが、左上腕の「ビリっ」とした痛みは緩和した。そして「ジュワー」とした違和感を残す程度になった。
- 14回目、前回の治療後数日楽だった。13回目までの治療でNumerical Rating Scale(NRS)10→6まで緩和。
- 15回目、左背部の疼痛が一時的に緩和。左肩関節回旋時の左背部の「ゴリゴリ」音の発生回数も減少。
- 16回目、左背部の痛みが時々10→0(NRS)の時も出てきだした。左上腕の痛みは、後方から前方に移動。
- 17回目、全体的に調子が良くなってきておりその効果を実感できるほどに回復。左上腕の痛みも、大分良い。
- 18回目、全体的に大分良くなってきた。
- 19回目、左上肢のしびれもかなり減ってきて、日常生活も大分楽になった。
- 20回目、かなり症状が改善したので、痛み止めの服用をやめてみた。飲まないと少し痛いが、初回時の痛みと比較すると10→2(NRS)にまで緩和した。
- 20回目の治療後、お電話で「痛み」「しびれ」ともに10→0(NRS)と報告を受けた。
- NRS 10→0 となったので、治療終了。
- 再発しそうな時は再度来院するという事になったが、その後の再発は認められない。
まとめ
今回の症状は、以下の部位に施術をすることで、
最大の痛みを10とした時に、10→0と、すばらしいまでの症状緩和に至りました。
- 首の脊髄から出て、指に伸びる神経の出口付近の施術
- 首にある前斜角筋及び中斜角筋間の神経の束の施術
- 左背部最長筋への施術
- 左背部上後鋸筋への施術
- 最長筋乳様突起停止部の施術
- 上肢の主要筋に対する施術
- 頸肩部の主要筋に対する施術
- 肩甲骨に付着する主要筋に対する施術
この症例での特に正確な技術が必要な手技(難易度の高い手技)の注意点としては、
- 頸椎部分では、頸椎横突起の前後結節を通過する頸神経周囲に刺鍼しなければならない。
- 首のやや前面を通過する腕神経叢には、超音波エコーを用いて、確実に刺鍼しなければならない。
- 左背部の最長筋や上後鋸筋の奥には肺が存在するので、エコーを用いて肺までの距離をきちんと確認し、安全指針深度(ランドマーク)を肋骨後面と定める必要がある。また、刺鍼は背部の筋をきちんととらえなければならないので、つまり背部の筋肉の最深部は肋骨に面しているので、針先を肋骨に到達させなければならない。
などの高度な技術の必要性が挙げられます。
以上、頚椎症がある状態でも、症状の緩和をさせることを証明できた症例となりました。
もし、このような鍼灸治療を受けたい方は、以下より、お申し込みください。