主訴
不安、動悸、首肩背中の張り感、食事がのどを通らない。
医師による診断名
自律神経失調症
※24時間ホルター心電図検査、異常なし。
現病歴
旅行中の夜中に目が覚めた。眠れずにしばらく経過したところで動悸がしだし、医師の診察を受けた。
血圧もかなり高かったが、しばらくすると正常に戻っていた。
この一カ月ほど軽い動悸があったので医師に検査をしてもらったが異常はなかった。が、結局激しい動悸に至ってしまった。
過去には貧血で倒れたこともある。人が集まるところは苦手で落ち着かない。
また、最近は手汗をかくようになった。そうなるとまた動悸出るのではないかと不安になる。
元々精神的に緊張しやすい。緊張すると以前にもまして脈が上がるようになった。
最近では常に緊張している。
仕事上の人間関係でもかなりのストレスを感じる。
頭痛はたまにあるが、気になるほどではない。
睡眠は3時間ほどで目が覚めるが、幸いにその後はまた眠れる。
仕事ではパソコンを使用する。そのせいもあり、首から肩、背中までこって張り感も強い。
食欲はあるが、食べたいのに喉を通らない。
医師の指示で24時間ホルター心電図を装着したが異常はみられなかった。装着中には動悸がしたのに、それでもなんの異常もなかった。
そこで、当院への来院となった。
※過換気症候群の既往あり。
自律神経失調症の鍼灸治療開始
- 緊張をとるための、全身調整的鍼灸治療を行った。
- 全身の筋緊張部位に切皮置鍼15分および温灸。
- 黄帝内経難経 六十九難の補法(六部定位の脈診による証立て)による鍼。
- 動悸に対する鍼。
- 胃気上逆の鍼。
- 呼吸を安定させる鍼。
- 全身に対しての棒灸。
- 全身に対しての電気的灸頭鍼。
- 1~6の鍼灸をすることで最終的な自律神経の安定を図ることを目標とした。
- 毎回の治療終了時に主に筋緊張部位に「てい鍼」を留鍼した。
使用した機材
- 使い捨て鍼灸針 直径0.14×長さ39㎜
- 棒灸
- 赤外線治療器(電気的灸頭鍼)
経過
- 2回目、肝虚症。仕事中呼吸が苦しいが、動悸は少しまし。胃の不調と胸の変な感じはある。
- 3回目、心虚症。大分調子よい。しかし、仕事終了の1時間前になると、調子が悪くなるが、帰宅すると回復する。
- 4回目、肝虚症。調子は良いが、胸の変な感じはある。げっぷも出る。
- 5回目、肺虚症。調子良い。動悸もしない。調子良いので次回は10日後とした。
- 6回目、肺虚症。今までで一番調子よかったが、会議などで緊張すると動悸が出そうになる。
- 7回目、軽い肺虚症。全体的に調子よい。
- 8回目、肺虚症。調子よいが、のどに少し違和感があった。動悸はないが出そうな時もある。
- 9回目、肺虚症。すべて調子良い。なんの問題もない。だいぶ調子良いので次回は1カ月後とした。
- 10回目、肝虚症。調子よい。次回の治療も1か月後とした。
- 11回目、肝虚症。すごく調子良くて何ともない。普通に生活できるようになった。かなり調子良いので、次回の治療は2か月後とした。
- 2か月後、お電話で、完全に治癒したとの報告を受けた。これをもって治療を終了した。