1.なぜ自律神経の不調で食欲が低下したり、吐き気が起こるのか?
自律神経の交感神経が緊張すると、筋肉も緊張し硬くなります。
すると特に首肩の緊張が、頸動脈の奥にある迷走神経(副交感神経)にまで悪影響を及ぼし、胃腸に不調が起こりやすくなると考えられます。
例えば、肩や首がこりすぎて、血管の縮み過ぎ すなわち交感神経過緊張状態が迷走神経の機能を低下させ胃腸の動きを悪くさせるので食欲が落ちる事態に至らせます。
そしてその反動により副交感神経の過緊張状態に至ると胃酸が出すぎて吐き気がしたり、胸やけが起きたりします。実際に嘔吐することもあります。
この時には、片頭痛も同時に起きていることも稀ではありません。
また、胃酸が食道に逆流する症状として逆流性食道炎があげられますが、この胃酸が上がりすぎてしばしば気管に接触することさえあります。
すると気管に炎症が起きると同時にそれを排出しようと痰が多く絡み、咳をしてもなかなか切れなくて困り果てる方も結構おられます。
そして、鎮咳去痰薬という痰や咳を抑える薬を飲むという行動に走り一時的に良くなったような気になりますが一向に改善しない例も多いのです。
この鎮咳去痰薬は基本的にアドレナリン作動性薬なので交感神経を優位にさせてしまいます。
つまりここでもまた自律神経の不安定化を招くことになるのかもしれません。
肺も気管もどこも悪くないのに、なぜか痰や咳がいっぱい出るという方の中には、実は肩こり・首こりが回り回って痰の量を増やしているという事もあるのです。
このように、緊張した筋肉は、迷走神経を通して胃腸、さらには気管にまでも影響が及ぼすことがあるので、根元である交感神経の緊張と肩こりなどを解消させることは非常に重要なのです。
2.なぜ自律神経の不調で、息苦しくなるのか?
交感神経の過緊張による、筋肉の緊張という症状は、そもそも「交感神経の優位な状態が続く悪夢と言い換えることができる」という事を理解しなければなりません。
つまり交感神経が優位になり、筋肉の緊張を起こす筋肉やそれを覆う筋膜に異常が生じ「ファシアの重積」ができると筋肉の動きが悪くなり固くなり周囲の組織を圧迫し始めます。肩甲舌骨筋や胸骨舌骨筋などの気管周囲の首の筋肉が固くなったり、胸を拡げさせる筋肉が固くなったりすると、息苦しさを感じるようになるのではないかと推測できます。
また、交感神経の優位な状態が続くこと(ストレスが続くこと)は、体にとり有害であるため、今度は反射的に副交感神経を優位にしなければならないという作用が出てくることもあります。
この時には、首の筋肉と頸動脈の奥にある「内臓を支配する迷走神経(副交感神経)」を特に活発化させ、迷走神経反射というものを起こさせます。
迷走神経反射が起きると、気管が収縮してしまいますので、ここでも再度の息苦しさを感じることになってしまします。
交感神経には本来、気管を拡張させ体内の酸素量を増やさせる機能を有しています。逆に筋肉に対しては突発的な事象に即座に反応させるよう緊張させておきます。そして血管には、基本的に収縮をさせますが、本当にいざ戦わなければならない現場の筋肉の血管は弛緩させ、体液やガスの交換を急がせます。これは交感神経のα受容体とβ受容体の話になるのですが、専門的過ぎるので割愛します。
わかりやすく話せば、
筋肉が緊張して血管が収縮している時は、気管が広がろうとするのに周囲からの押し付けにより阻止されるし、筋肉の緊張からの自己回復機能により反射的に血管を拡張させ筋肉の緊張を取ろうとすれば、今度は気管が収縮して息苦しくなる。という2重苦を味わうことになるのです。そして、これに筋緊張型頭痛、片頭痛、嘔吐なども同時併発した場合の苦しみは、想像を絶するわけです。
従いまして、筋肉の緊張状態をニュートラルに導くことは、とてもとても大切なことなのです。
3.なぜ自律神経の不調で動悸のようなことが起こるのか?
交感神経と副交感神経のシーソー現象が大きく(シーソーの振れ幅が大きく)なり、特に交感神経の急な反応が起きた時に動悸のようなものが発生するようです。
副交感神経が非常に優位な時に、少しだけ交感神経にスイッチが入ると急速に緊張が高まり、じっとしているのに心臓が早く動いてしまうからというような理由です。
例えば、テレビを見ているときに、少し横を向いただけで急にドキドキするなどがあげられます。
強くて逃げられないストレスが長期間続くと、体は常に緊張を強いられます。
自律神経的には交感神経の機能が最大限に発揮されている状態といえるのですが、これは体に大変悪いので、急速に副交感神経の機能を最大化しようとします。
その後、ストレスのない生活に入ることができれば、自律神経の機能も安定するのですが、たいていの場合、またすぐにストレスにさらされてしまい、深い安らぎの副交感神経優位状態から、強いストレスによる交感神経優位状態に一瞬で変わります。そしてまた・・・。
とシーソーの振れ幅が大きい状態が続きます。
自律神経を安定させ、動悸のような症状をなくすためにも筋肉の緊張緩和は非常に大事なのです。
4.なぜ自律神経の不調で胸の方まで変な違和感が生じるのか?
それは迷走神経への悪影響に加えて、背部の筋の過緊張による肋間神経への悪影響が生じるからです。
具体的には迷走神経が支配する臓器の機能が低下したり、逆に副交感神経が優位になりすぎて胃酸が出すぎるために食道に悪影響がおよび胸やけのような変な違和感が生じたり、
首肩背中を結ぶ筋肉により肋間神経が締め付けられてその神経の支配領域の筋肉に悪影響がおよんだりするからです。
例えば、急に胸周囲に変な違和感を生じ、心臓が悪いのではないかと医師に診てもらっても、どこにも異常がないと言われたときなどが、この項のような症状に該当することがあります。
胸のへんな違和感を消失させるためには、首・肩・背中の筋肉の健康を取り戻すことで、交感神経、副交感神経(迷走神経)、肋間神経を安定させることがとても大切なのです。
5.なぜ自律神経の不調で上半身「特に首から上は熱くなり」、「足は冷える」のか? いわゆる「冷えのぼせについて」
交感神経の過緊張により固くなった首肩の筋肉のせいで脳と接続する動脈や静脈が圧迫されると、脳内の血流量も減少するので、それ回復させようとした反応の結果として、顔や頭が火照るのになぜか足は冷えるという状態が出現するのではないかと推測されます。このような時に人によっては、生あくびが出だす場合もあります。
なぜなら、脳は酸素と栄養を大量に必要とするため、血管を拡張させて脳内の血液を長めにとどまらせ、すべて濾し取ろうとするからです。そのために血管拡張物質のCGRPや、血液成分などが血管の壁を通りやすく(血管透過性亢進)させるために必要なサブスタンスPなどの物質も多く分泌されます。
さらに脳や顔面頭部には血管拡張と同時に熱い血液が流入して皮下温度が上昇します。
脳は血液を必要とするので、血液を集めれば必然的に脳内の温度も上昇します。
しかしながら脳は温度の上昇を嫌いますので、温度を下げる必要が出てきます。
そこで、手っ取り早く放熱させるために、顔面頭皮の血管を拡張させ、外気と熱交換(空冷)させて冷やします。さらに熱さましを加速させるために汗もかかせて冷します(水冷)。
実際にかなり辛い症状ですが、これは脳を守るために必要なことなのかもしれません。これを東洋医学的には「上実下虚」と表現します。また一般的には「のぼせ」という表現がこれに該当します。現代医学的には「自律神経失調症の一部」となるのかもしれませんが、実際には、生命維持のために自律神経が調整を盛んに行い、なんとか、やりくりできるようになってはいますが、このやりくり自体にそもそもかなり無理があるので、生活する上で非常に心地が悪すぎて逆に無茶苦茶な精神的ストレスがかかり、ますます悪化するという悪循環を生じることになるのかもしれません。
片頭痛に関しては別ページの通りですが、問題は、なぜ、足が冷えるのかという事と、口内炎ができるのかという事です。自律神経の失調と口内炎に関する論文もあまりなくよくわかっていませんが、これらを示唆する論文を見つけましたので、引用して、考察してます。
「足の冷え」と「頭部の熱」について
まずは引用から・・・。
「婦人のいわゆる”冷え性”についての温度生理学的検討について」より
これらの結果から判断すると,“ 冷え性” あるいは“ 冷えのぼせ性” のものは,身体下部を冷した場合にかえって頭部の温度の上昇するという体温反射の度が強いことが実験的に証明され,明かに“ 冷えのぼせ” の自覚症状が,この体温反射の結果として現れていることを知る。
著者
松窪 正男 東京慈恵会医科大学公衆衛生学教室
岩崎 次夫 東京慈恵会医科大学公衆衛生学教室
吉岡 敏子 東京慈恵会医科大学公衆衛生学教室
河田 富政 東京慈恵会医科大学公衆衛生学教室体力科学 / 8 巻 (1958-1959) 6 号
J-STAGE
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspfsm1949/8/6/8_6_257/_article/-char/ja
という論文で、足が冷えると反射的に、頭に熱が発生するという「体温反射」を実験的に証明した「東京慈恵会医科大学公衆衛生学教室の昭和34年」の古い論文からの引用でした。
ただし、この体温反射が実験的に証明されたといっても、なぜそうなるのかの論理的展開はありませんでした。
そこで、少し仮説を立ててみたいと思います。
足が冷えるという事は、寒い所にいると体は感知するはずです。
寒い所にいるという事は、体は血液を冷やさないようにして、絶対に冷やしてはいけない部分の体温を一定に保たなければならなくなります。
手足に温かい血液を流して暖かくすると、熱交換により逆に血液が冷えてしまいます。そしてこの冷えた血液が心臓に戻るのですが、ここで、問題が生じてしまいます。冷えた血液が絶対に冷やしてはいけない臓器を冷やしてしまうので、特に低体温症の起こるような場所にいるようなときは生命の危機に直結してしまいます。
そこで手足に温かい血液を流すのをやめ、体の中心部や脳内に温かい血液をより多く流通させなければならなくなるのです。体の中心部や脳内の血管など比較的深部の血管を拡張させ暖かい血液を滞留させようとします。
これが冬山で遭難など過酷な状態で起きれば、命を守るためのありがたい反応といえますが、ちょっと冷えるぐらいでこの反応が起きれば「冷えのぼせ」になってしまいます。
例えば、強いストレスがかかり、血管が収縮し四肢末端の血流量が減少したとします。つまり手足が冷えます。冷えるという事は、体は、別に寒い所にいるわけでもないのに、寒い所にいると判断をします。そうすると、四肢末端への血液供給を最低必要量にまで低下させ、体の中心部や脳内に滞留させようとします。しかし、実際にはたいして寒い所にいるわけでもないのに手足はさらに冷え、上半身特に頭は熱すぎる状態になります。熱がこもるのも体には悪いので、熱い血液を顔や頭部の皮下に送り込み、外気温で冷やし、さらに汗をかかせて冷やすという流れになります。
この一連の流れの中で、自律神経や神経ペプチドなどが総動員され有難迷惑的生命維持活動すなわち「冷えのぼせ」が起こるのではないかと仮説をたててみました。
解決策は、以下の口内炎の後に書きます。
口内炎について
まずは引用から・・・。
「再発性アフタの研究 (そのIII) 自律神経機能との関係について」より
1)再発性アフタ患者24名に,自律神経機能検査(薬物的検査および自律神経緊張徴候群の有無)を行なつたところ,すべての例において,機能の異常を認めた。なかんずく,副交感神経不安定状態と,密接な関係にあることを見出した。
2)若年者から更年期までの女性に,多く出現する本疾患では,この成績から,女性ホルモンの変調が,重要な因子となることが推測される。著者
松田登 群馬大学医学部口腔外科
加藤譲治 群馬大学医学部口腔外科日本口腔科学会雑誌 / 10 巻 (1961) 4 号
J-STAGE https://www.jstage.jst.go.jp/article/stomatology1952/10/4/10_4_323/_article/-char/ja/
という論文で、女性ホルモンの変調が自律神経に影響を与え、特に「副交感神経が不安定な状態」になると口内炎が繰り返されると結論付けられていました。
なお、この論文の検査対象者は、女性20名、男性4名なので、男性にも冷えのぼせが多く存在していることが推察されます。事実、当院の男性患者様にも「冷えのぼせ&片頭痛」の方が多くいます。結論に「女性ホルモン」と入っていますので、女性だけの症状に思われますが、実際には男性の体内でも女性ホルモンは作られているのでこのような結果になったのではないでしょうか。
ここでも問題となるのは、副交感神経の過緊張状態がなぜ、口内炎を発症させるのかという事なのですがその論理的展開がありません。医学系博士の論文を多く検索してみましたが、なかなか探し出せませんでした。
ここで、口内炎ができるまでの仮説を立ててみたいと思います。
上記の「足の冷え」と「頭部の熱」について述べました通り、頭にこもった熱は冷やさなければなりません。顔や頭の皮膚のすぐ下にある血管を拡張させ、そこに熱い血液を送り込み、空気(空冷)と汗(水冷)で冷却させるという理屈でしたが、
そこで、私は考えてみました。
熱を冷ますのに、口の中ほど冷却率が良い場所はないのではないかと!?
付け加えれば、本来であれば鼻こそが最高に冷却効率が良いのですが・・・問題があるのです。鼻は脳の直接冷却に関係していますが、全体の冷却のために副交感神経が優位になるというところで、これが鼻による冷却に強くマイナス面を出させてしまっているかもしれません。理由は、副交感神経が優位になると鼻粘膜の血管も拡張し、そのせいで鼻粘膜がむくみ鼻詰まりが起こり、空気の通りが悪くなるので脳の冷却効果を打ち消してしまう可能性が高いからです。
となれば、呼吸は口メインになりそうです。口から空気が出入りすることになります。
という事は、口の中には空気の流れが発生しますので、冷却効率が高いという事になります。
更に、唾液も分泌していますので、もしかしたら、その唾液を利用して水冷している可能性すらあります。
それはもう、熱い血液を口に送らない理由などあろうはずもないという状況に至ります。
熱の放出に関しては、このような仮説によりどんどん排出されるのでベターです(ベストではないです)が、
口の粘膜としては、たまったものじゃありません。
粘膜の最表面は空冷水冷されるのでまだましですが、少し内部となるとかなり熱い可能性があります。
また、頭・顔などの汗により、体の水分量が減少し、汗の流出が減ると熱せられた血液が口に増々集まるかもしれません、しかし、このような時は唾液の分泌量も低下すると考えられますので、内部の温度はさらに上昇しているかもしれません。このような時は、冷たい水を口に含みしばらく口腔内にとどまらせて冷却し、熱交換により温かくなった水を飲みこむということを水分補給がきちんとできるほどに繰り返すといいかもしれません。利点は、「口腔内の温度低下」、「程よく温まった水を飲みこむので胃腸を冷やさないで済む」、「水分をきちんと補給できる」、「鼻呼吸が促進される」という4つがあげられます。ちなみに、口内炎で辛い方が口に冷たい水をとどまらせると「気持ち良い」と一様に言われます。
ちょっと話がそれましたが、口腔粘膜は常時高温にさらされ損傷し、粘膜が炎症し、ひどい場合は潰瘍を作るのではないかと思われます。口内炎自体も自己修復のための反応なので熱を持ちます。口内炎は「太陽の中に太陽ができるようなもの」で口の中が熱いし痛いし、顔も頭も熱いし、手足は冷たいしなどで、ものすごい苦痛(ストレス:交感神経系)となり悪循環に至ります。そして、悪質な頭熱足寒が続く傾向になり、口内炎も何度も何度も再発します。
これが口内炎発症までの機序であると仮説しました。
自分でできる口内炎予防の解決策としては、意識的に鼻で呼吸し繰り返し癖付け、鼻から入ってくる空気で脳自体を直接冷却するのが良いと思われます。
また、同時に、冷却シートなどを「おでこ」や「首」などに貼り、そこに熱い血液を誘導させ、口腔に熱い血液が行き過ぎるのを阻止することも大事かと思われます。
口内炎ができてしまったなら、前述の通り、冷水で口を冷やしついでに水分補給もするという対処をしましょう。
鼻がつまっていて息が吸えないという方も多くいると思いますが、最近は、鼻呼吸を促進させるグッズなども売っているようなので活用すると良いと思います。
鼻がつまって、口も閉じてしまったら、息ができないと考えるかもしれませんが、口からも鼻からも呼吸ができないとなると生命の危機に直結するのでそれを回避するために、交感神経が一時的に優位になり、鼻の血管を収縮させ鼻粘膜のむくみを急速解消させ気道が広がるので問題ないと考えられます。さらに交感神経が優位になると気管も拡張しますので、空気の流量も一時的にでも増えます。よって、鼻から入った空気により脳の前下部を直接冷やす効果が促進され、時間はかかるかのしれませんが、鼻呼吸を繰り返すことでのぼせの症状を長期に改善させることもできるかもしれません。
日常生活における対処はそれでいいのですが、根本的な問題である、頸部の筋緊張による血管圧迫による脳への血流量低下を何とかしなければ、これらの諸問題の解決は難しいのではないかと考えられます。
肩こり・首こりに対するファシアリリース鍼灸は、冷えのぼせ対策の一方法であるという事を提案します。
6.なぜ自律神経に不調に対して頑固な肩こり・首こり にエコーガイド下筋筋膜等リリース(ファシアリリース)鍼をするのか?
マッサージでは届かない深部の肩こり・首こり筋や筋膜などのファシアの重積を直接リリースする方法として鍼はダイレクトにアプローチできるからです。
なぜなら、筋筋膜の癒着を解放(リリース)させるには、ある程度の長さのある鍼をもって、エコーガイド下に確実に当てるという施術が可能だからです。
例えば、肩の深部にある前鋸筋上部線維への施術で呼吸を楽にさせることが可能なのですが、その奥には肺もあり、エコーを使わずにブラインドで行えば、必要な場所からずれる可能性が高まり、肺に当たり「気胸」を起こすリスクも大きいので、エコーガイド下に行う必要があります。
エコーガイド下鍼筋筋膜リリースは、安全かつ確実に施術をでき、早期の肩こり・首こりの解放させ、交感神経の過緊張の緩和が期待できます。
7.自律神経と東洋医学について
自律神経失調症や更年期障害の鍼灸治療は、上記の通り、エコーを使って深部の筋肉の治療をすることもありますが、基本的にはあまり使いません。
現代医学の自律神経の理論と、鍼灸治療の補瀉手技を組み合わせて、立体的に治療します。
まず、東洋医学的な「脈診」をして、五行(肝・心・脾・肺・腎)のどこに問題があるのか探ります。
次に話を聞いて、現代医学的に、自律神経の交感神経や副交感神経のどちらに問題があるのか?
または、その両方なのかどうか?
胃腸の状況、呼吸の状況、頭痛の状況、動悸の状況、冷えのぼせの状況、日常生活における治療直前までのストレスの状況、などなどを根掘り葉掘り伺いながら、
その都度、自律神経のバランスをどう良くするか考えながら治療します。
自律神経は、非常に複雑なので、治療日ごとに状態も違いますので、治療日前のことや、当日の状態などを考慮して治療をしなければなりません。
また、症状に対する考え方も聞く必要があります。
自律神経はシーソーのように揺れ動きます。
意志や、考え方一つで、間接的に自律神経に良い影響が及んだり、悪い影響が及んだりしますので、良い影響ができるだけ長く及ぶように、意志や考え方を矯正する必要も出てくるからです。
自律神経をご自身の意思で直接的に操作することはできません。でも間接的には少しですが操作することも可能です。
ですから、鍼灸治療をすると同時に、日常生活の仕方(動作や行動様式)を変えたり、意志の持ち方や、考え方を変えることで、ご自身で間接的に自律神経を操作できるようするなどして、
つまり、自律神経のシーソーの揺れ幅をできるだけ小さくさせる理論を総動員して、自律神経失調の状態から脱するという総合的な治療を行うことになります。
当院では、鍼灸治療はもとより、鍼灸治療をおこないながら、自律神経の理論を総動員して日常生活改善の支援も行います。