このページは、論文「頭痛に対する鍼灸治療の効果と現状」による医科学的データと当院の患者様カルテデータを基に作成されています。
執筆:高野義道
保有資格:はり師免許(国家資格)、きゅう師免許(国家資格)
学位;学士(鍼灸学)
「頑固な肩こり・首こり(後頭下筋群含む)」に対して「最新の画像解析技術+従来の刺鍼技術」を組み合わせた、世界でも新しい鍼施術をお伝えします。
普通の肩こり ・首こり(後頭下筋群含む) の筋肉も当然施術するのですが、ここでは頑固で施術の※1難しい(危険な)部位だけど、ここを施術しなければ頑固な肩こり・首こり の緩和は難しい筋肉、筋膜、ファシアのリリース方法です。
この施術方法と理論はまったく新しい治療方法であり、もはや今までの東洋医学ではなく「現代医学に取り入れられた東洋医学の刺鍼技術」と言った方がわかりやすいかもしれません。
頑固な肩こり・首こりを引き起こす筋肉や筋膜、その他ファシアと呼ばれる結合組織の折り重なった部位を「超音波エコー」で発見し、目視しながら徹底的に鍼で施術します。
そんな、頑固な「肩こり ・首こり 」を、エコー画像下にリアルタイムに鍼施術しているところをご確認ください。 ※1 超音波エコー画像観察装置(高精細画像を描出できる高位機種)を使用しますので安全に施術できます。
ニュース
「肩こり ・首こり(後頭下筋群含む) 」や、「首肩の筋緊張」などと関連する「片頭痛」や「筋緊張型頭痛」に対する鍼灸施術は、
有効である。
という論文が発表されました。
参照元
頭痛に対する鍼灸治療の効果と現状
全日本鍼灸学会誌,2014年64巻1号,p18-36
頭痛に対する鍼灸治療の効果と現状 論文取得
石のように固くなった「首こり」にストレッチ鍼!!
※この方法は、頑固すぎる首こりへの適応となります。
頑固な「肩こり」の深部の筋肉が「ほぐれる」実際の映像(超音波エコー鍼)
※高野鍼灸リラクセーションでは、この動画にあるような鍼灸も受けられます。一度、ぜひお試しください。
頑固な肩こり ・首こり(後頭下筋群含む) になる理由
1.なぜ肩こり ・首こり(後頭下筋群含む) になるのか?
それは筋肉の血液循環が悪くなるからです。
仕事やスポーツのし過ぎや、ストレスがかかりすぎると自律神経の交感神経という神経の機能が優位になります。また、冷えも交感神経を優位にさせます。
交感神経は、血管を収縮させる作用のある神経なので、過度に交感神経が優位になるような状況に身を置いた場合、筋肉の血管が長期の収縮傾向に至り筋肉への血液供給量が減ります。つまり血行が悪くなるのです。
例えば、書類作成などの急ぎ仕事でストレスがかかる上に、表計算や文章作成など、首・肩・背中・腕などを固定して長時間作業するので血行が悪くなり、筋肉の周りを覆っている筋膜の動きも悪くなることで、筋肉が固くなるという現象が起こります。
こうして肩こり ・首こり が発生するのです。
肩こり ・首こり をセルフケア的に解消するには、肩や首が疲れたなと思った時に、お風呂でよく温めたり、軽くストレッチやマッサージをしてあげても良いかもしれませんが、頑固な肩こり ・首こり の場合は、筋膜の癒着が簡単に取れないので、癒着した肩の内部に鍼を刺入したり、病院であれば注射をしてもらうなどの対処が必要になることもあります。
2.頑固な肩こり ・首こり はなぜ簡単に解消しないのか?
それは、疲労が蓄積したままほったらかしにしたり、セルフケアやマッサージをちゃんとしている人でも少し不十分であったり、消炎鎮痛薬「いわゆる痛み止め」ばかり飲んで血管を収縮させ続け、結果として体を冷やし続けてしまうなどが原因かもしれません。消炎鎮痛薬は、「消炎」というだけあって炎症を抑えて痛みをとる「冷やす」という意味合いも含んでいると思われるからです。
また、強いマッサージでも、肩こり・首こりを慢性的に悪化させることもあります。
なぜなら、強いマッサージをすると筋肉に存在するカルシウムイオンの袋である「筋小胞体」を多量に破壊してしまい。カルシウムイオンが放出されっぱなしになりなってしまい、筋肉が収縮したままになってしまいます。
カルシウムイオンは、筋肉を動かすために絶対に欠かせない物質で、収縮が終了すると次の収縮に再利用させるために筋小胞体に回収されます。
なお、予期しない激しい動きや強い衝撃、それに強いマッサージを行うと、広範囲の筋損傷と同時に筋小胞体を破壊しカルシウムイオンを放出させ筋肉をより固く広範囲に収縮させることで、身を守ろうとします。つまり筋肉を収縮させることで、関節の動きすぎによる脱臼を防いだり、鎧になることで内臓などの大事なところを守ったりするのです。事故などが起こった時にはこのような反応により命の危機を回避したりするのですが、カルシウムイオンを回収しても筋小胞体自体が破れているためすぐに漏れ出てしまい、結果として必要なエネルギーであるATPを浪費し枯渇させ、持続的収縮と筋膜同士の癒着(ファシア癒着重積)を継続させてしまいます。これが肩こり ・首こりを頑固にさせる一因となるのです。
さらに固くなったコリ(ファシア癒着重積)を解消させようと、ストレッチなどで無理に動かしすぎると、固着した部分のさらなる損傷を招きます。そうすると残存もしくは修復された筋小胞体が再度損傷しカルシウムイオンが放出されます。一方、放出されたカルシウムイオンはATPを使い回収されますが、持続的収縮が起きている状態ではすぐにATPが枯渇してしまい、結局カルシウムイオンが回収されることもできなくなり、完全なる悪循環に陥り肩こりはますます悪化していくのです。
強いマッサージを好んでいる人の中には、「金づちでたたいても効かない」という人がいますがそれは当然です。なぜなら肩が鎧化してしまっているのですから・・・。
そうして、最終的にはカルシウムが沈着し、肩関節を凍結させてしまう石灰沈着性腱板炎のような辛すぎる症状に発展してしまいます。
3.なぜ頑固な肩こり ・首こり で頭痛が起きるのか?
それは、こり固まった筋肉により、頭に行く神経や血管が圧迫されてしまうからです。
なぜなら、神経や血管は、筋肉と筋肉の間を走っていますので、筋肉がこりすぎると神経や血管を圧迫し、神経伝導の状態が悪くなり、また、首から上の血行不良も生じさせ頭痛を起こさせるのです。
片頭痛の例)肩や首がこりすぎて、頭痛がしているようなときに、仕事が忙しいというなど理由で、薬も飲めずにほったらかしにしていました。
そのうちに頭痛が治まることを祈りつつ耐え忍んでいるうちに、目の奥に違和感が生じ、頭痛も脈を打つようなものに変化し、また、吐き気もしだし、ついに吐いてしまいます。脈打つ前に嘔吐するともありますが、今回は、頭痛が脈打ちだした後に嘔吐しました。
そして、あまりにも辛いので普通の鎮痛薬を飲んでみますが全然効かず、最後に仕方がないので頭がガンガンしているのにお風呂で温めれば治るんじゃないかと入ってみたところ、ますます悪化し、再度嘔吐してしまいました。
翌日病院を受診し、今回の頭痛を説明したところ、普通の鎮痛薬ではなく、トリプタン製剤という血管拡張型頭痛(片頭痛)に効く薬を処方されてしまいました。
と、とんでもなくつらい状態に至ってしまうのです。
上記のような状態を順を追って説明しますと、
まず首肩の筋肉がこりすぎて神経が圧迫されると、神経絞扼障害といわれる症状が生じ頭蓋骨の外側を走る後頭神経などを締め付け、筋緊張型の頭痛(後頭神経痛様の症状)が起こります。
この時に神経の反射により嘔吐する場合もありますが、今回の例ではここでの嘔吐はしていません。
次に、
脳が活動するためには、大量の酸素と栄養を必要とします。もし脳に行く血管の血行が悪くなると、脳への酸素や栄養の量が減り非常に困った状況に陥ります。
そこで、それを解消させようと、脳内の血管を拡張させ、血液を少しでも長くとどまらせ、できるだけ多くの酸素や栄養を濾し取ろうとするのです。この時に血管を拡張させる物質(CGRP等)や、血管壁を開けさせる物質(サブスタンスP等)が放出され「片頭痛」が起こるというような片頭痛の医学的発生機序なのですが、現在のところ「仮説」の段階にとどまっています。
また原因も「不明刺激」により起こるといわれています。
今記事においては、私的な仮説として「不明刺激=異常な持続的筋収縮」として論理を展開させていただきました。
片頭痛の発生仮説は、
- 血管説(セロトニン関与説)
- 三叉神経説(CGRP関与説)
- 神経説(サブスタンスP関与説)
- 統合説(神経血管全部説)
- 等
と様々あります。
文献により説が微妙に違ったりしますが、結局、原因不明(ここでは慢性的なひどい肩こり・首こり的)な刺激による血管拡張型拍動性頭痛と、炎症発痛物質(ブラジキニン・プロスタグランジン等)や血管拡張等物質の(CGRP・サブスタンスP等)による神経ペプチド作用性頭痛が合体したような頭痛という理解でよろしいのではないかと思います。
慢性で持続的な肩こり・首こりが、筋や血管を収縮させるわけですが、その反動で血管を拡張させ炎症まで起こさせているかもしれないというかなり複雑な頭痛(すなわち片頭痛に発展してしまった)なのです。
血管が拡張するという事は、副交感神経も優位になっていると考えられます。つまり内臓を支配する副交感神経である迷走神経が胃を活発にしますがこれが大問題なのです。
つまり、何も食べていないのに胃酸の量を増やしてしまいます。
もし、胃酸の量が多すぎて胃壁を損傷するようなリスクが生じた場合は、自分自身の胃を守りために、体外への早急な排出が必要になります。
そうして嘔吐します。
このように肩こり・首こりによる、頭痛と嘔吐は密接な関係があります。
ただ、肩こり・首こりから、必ず頭痛が起こるわけではありません。また、嘔吐も必ず起こるわけでもありません。全部起こる人もいれば、肩こりだけの人もいるように、個人差がとても大きいのですが、ここでは、全部起きる人を例にとり順番に話をしました。なお、嘔吐については、次項目でもまた詳しく説明しますが、肩こりはここまで影響を与えてしまうこともあるのです。
よって、頭痛の前段階である肩こり・首こりを改善させることは、非常に大事なことなのです。
鍼施術の方法(エコーガイド下)
4.普通の肩こり ・首こり 筋:僧帽筋
僧帽筋は肩こり・首こりを起こす筋肉では最も有名な筋肉です。肩こり・首こりの中の肩こりと言えます。僧帽筋のこりはあまりにも普通のこりですが、しかし、僧帽筋以外の筋肉で発生する肩こり・首こりをより頑固にさせるという普通なのに全体を悪化せせるというけっこうキーパーソンになる筋肉なのです。
なぜかというと、首と胴体の移行部分は首肩から腰までつながる筋肉や首から腕に伸びる筋肉血管神経などが入り組みあたかも高速道道路のジャンクション(主に立体的交差点)のようになっているのですが、この僧帽筋はジャンクションの最上層にあるため、これが凝り固まり硬くなると下層にあるジャンクション全体を圧迫し悪影響を及ぼしてしまうからなのです。
例えば、僧帽筋上部線維の首の付け根部分下層(深部)には、脊柱起立筋、肩甲挙筋などが通過しており、僧帽筋が硬くなると、当然のごとく、その下層の筋溝の滑走性が悪くなり凝りを悪化させ、これまでの慢性肩こり・首こりにさらなるコリの上書き保存をさせるため悪循環に陥らせてしまいます。
従いまして、僧帽筋上部線維首肩移行部をジャンクション・リリースし、滑走性を回復させスムーズなトラフィックに導く必要があるのです。
※僧帽筋の位置やエコーガイド下リリースの動画を挿入
※ ジャンクション・リリース:2018年5月21日に高野義道により名づけられた名称。
5.頑固な肩こり・首こり 筋1:前鋸筋
前鋸筋の動きが悪くなると呼吸が苦しくなります。
なぜなら、前鋸筋は、肋骨を引きあげ、胸を広げ、肺への空気の流入量を増やす役目の一翼を担っているからです。
例えば、前鋸筋がこり、胸の広がりが悪くなれば、空気の流入量が減ることは想像に難しくありません。
エコーで、前鋸筋の一番上の部分を観察すると、息を吸った時に本来であれば一番上(第1・2肋骨等)の肋骨を引っ張り上げ、胸腔(肺の収まる空洞)を広げるお手伝いをしなければならないのに、コリがひどいと、逆に肋骨を押し下げ息苦しさを助長させてしまうというとんでもなく悪い状態に至らせてしまったりします。
解決策として、前鋸筋をリリースし、肋骨の動きをよくすると同時に、次項で述べる、前鋸筋の上層にある肩甲舌骨筋との滑走性をも改善させ、胸の拡張をスムーズにさせ、頑固な肩こりに伴う息苦しさを改善に導くための「前鋸筋リリース」が必要になるのです。
6.頑固な肩こり・首こり 筋2:肩甲舌骨筋
首肩がこると、のどや、首の前面に妙な違和感を生じさせることがあります。
また発声能力低下や「かすれ声」を発生させる可能性もああります。
この時に問題となる筋肉が肩甲舌骨筋です。
肩甲舌骨筋は、肩甲骨から、のど前側面を通り、首の上の方にある舌骨までをつなぐ細い筋肉です。
筋肉、神経、血管、気管などとジャンクションを形成しているので、様々な悪影響を及ぼしやすいと考えられます。
また、のど仏を奥に押し込み声帯に悪影響を与え声を出しにくくするという悪影響も生じさせます。
例えば、気管に影響を与え、息苦しくなり、のど自体にも変な違和感を生じさせたりします。そして同時に声がかすれるなどのような症状が出現します。
そこで、肩甲舌骨筋を肩部で鍼でジャンクション・リリースし、僧帽筋、前鋸筋との接点の滑走性を改善させ、症状解消に導くことが必要なのです。
下の動画は、僧帽筋と前鋸筋の間にある、白く固く圧縮された「肩甲舌骨筋」が「鍼」を刺入し刺激することで、正常の筋肉に戻る様子の撮影に成功したものです。
7.頑固な肩こり・首こり 筋3:後頭下筋群
お楽しみに・・・。
以下、執筆は続きます。