鍼灸治療が怖い方、はじめての方へのメッセージ
鍼灸治療は、実際に、体に『針』を刺入したり、『灸』(よもぎ草から作られる「もぐさ」といわれる道具)により体に対して熱を加えたりします。
鍼治療は、実際に刺すので、恐ろしいイメージがありますが、いざ受けてみるとぜんぜん痛くありません。「エッ!刺したの」といわれる方も多いです。
実際、刺しますので、指で皮膚を軽くつまんだ感じ程度の痛みが、たま~に出ることもありますが、ぜんぜんたいしたことはありません。鍼灸を受けたことが無い方には、なかなか信じていただけませんが、事実です。
最初に鍼灸治療を受けるときは、緊張します。これを今書いている私ですら初めて鍼を打たれた時にはものすごく緊張しました。
あまりに緊張している時(ストレスの強い状態で)は、自律神経の交感神経が緊張して血管が収縮し、呼吸、鼓動などが速くなります。このようなストレス状態下にあると、治るものも治りません。
ですから、慣れないうちは、針の太さ(直径0.16mm以下の針。しかし針先はもっともっと細いです)の極細の針を、深さ1~2mm程度一瞬にして入れる手技を行い、ほとんど痛みを感じさせないように打たせていただきます。このような最小刺激で効果がある場合は最小刺激の治療を継続します。しかし効果が思わしくない場合は刺入深度を深くしたりします。深くしても痛みはないですが、たまに、チクッとしたり、ズシンと重い感じがしたりします。チクッとした場合は打ち直した方が良い時がありますが、「ズシン」と重い感じの時は、これ自体が鍼灸の特徴的な感覚ですので、重すぎない限りはそのまま刺入したままにしておきます。
また、施術は、鍼灸師(国家免許)が行います。当院の鍼灸師は十分にトレーニングを積み、治療経験も大変に豊富です。そして、使用する針は『全て使い捨て』です。治療に不安な方はご安心いただけます。
※ただし、症状によっては直径0.16mmを超える針(0.18mmから最大で0.34mmまでの数種類ある針)を使用することもありますが、いきなり太い鍼を打つことはございません。
これだけは言えます。「今感じている苦痛に比べれば、鍼灸治療など痛くも痒くもない」。という事です。
ぜひ、怖がらずに、「苦痛に比べれば、痛いうちにも入らない鍼灸治療」を受診していただき、早く楽になっていただければ幸いです。
あっ最後に!! 我慢を重ねに重ねてやっとの思いで鍼灸治療に来られて、1回で治ると思っている方もおられますが、そう思われるなら、本当に早く治りやすい急性期にお越しいただければ幸いです。慢性化すればするほど治りにくくなります。しかし、慢性痛の方もあきらめずに、下記(急性の症状の後)の慢性の症状をお読み下さい。
★(急性の症状)
- 骨折や靭帯・腱・筋肉の断裂や激しい損傷の疑いがある場合は、保険医療機関を紹介させていただきます。
- 治療前に、脳や脊髄の中枢神経系の異常の有無確認、また、深部腱反射や神経伸展テストなどの徒手検査を行い、もし問題があれば専門医を紹介させていただきます。
- 上記のような問題が無く、鍼灸治療により症状の改善が可能な場合は、鍼灸治療を行います。
- 急性の症状は、慢性の症状と比較した場合、早期の症状改善が期待できます。
- 例えば、ぎっくり腰等の急性腰痛などでしたら、早い方で1~3日、長い方でも2週間程度で回復いたします。ただし、傷病の状態がひどい場合や、日常生活で問題のある生活をされていたり、ストレスが多い場合などは、慢性化することもございます。その場合は治療も長期化しますので、日常生活の仕方を改善していただく必要がございます。
★(慢性の症状)
- 骨折や靭帯・腱・筋肉の断裂や激しい損傷の疑いがある場合は、保険医療機関を紹介させていただきます。
- 治療前に、脳や脊髄の中枢神経系の異常の有無確認、また、深部腱反射や神経伸展テストなどの徒手検査を行い、もし問題があれば専門医を紹介させていただきます。
- 上記のような問題が無く、鍼灸治療により症状の改善が可能な場合は、鍼灸治療を行います。
- 慢性の症状とは、頑固で治りにくい病気です。治療には根気が必要です。
- 治療上の根気とは、治ることをあせらずに、来た道を帰るぐらいの根気のことを言います。
- 治療を続けていると、良い日もあれば、悪い日もあります。一喜一憂しないようにお願い致します。最後は改善などの変化がちゃんと現れます。
- 治療している期間に最も注意すべきことは、調子の良いときほど、安静にしなければならないという事です。
- 調子が良くなって出来るようになったから(自分では気がつかず自然と動いてしまっている場合も含む)と言って、動いてしまっては、すぐに悪い状態に戻ってしまいます。そうして「悪い」、「悪い」とおっしゃる方がおられますが、動けば動くほどいつまでもずるずると良くなりませんので、調子の良い時ほど、安静を心がけて下さい。(調子の良いときは、動くことができるので動いてしまい、痛みがぶり返したり、更に激しくなってしまう事もあります。)調子が良い時ほど心がけて安静にしていると、回復が驚くほど早まる事があります。
口を「すっぱく」してでもご理解いただきたいこと、そして「耳にたこ」にしていただきたいです。
(口すっぱ・耳たこ)
こんにちは!院長の髙野です。今月は、痛みの小話を一ついたします。
皆様は、胃腸が悪い時にはどのような食事をされていますか?たいていの方は、消化の良い「おかゆ」などを召し上がると思います。そこで質問です。調子が悪い状態が続いておかゆを食べていたとして、途中で栄養がたりず体力が衰えるので「ステーキ」でも食べようかな?と思うことがあるでしょうか?答えは、「NO(ノー)」。ではないでしょうか。もし、ステーキを食べたらどうなるのか?答えは、「ますます胃腸が悪くなる」です。胃腸が回復するまでは油っこい物を避けて、消化に良い物を食べなければなりません。では、たとえば、坐骨神経痛の治療をしているとします。しかし簡単には治りません。治療の期間も数ヶ月に及ぶことも多々あります。そんな中で、痛くて歩けないので少しでも運動しないとますます衰えると思いこみ無理される方が大変に多く見られます。事実確かに衰えますが、だからといって無理をすると、痛みがぶり返し、ずるずるといつまでも痛みが続き、ますます筋肉が衰えてしまいます。鍛えるつもりが逆に弱めてしまい、今までできていた日常生活の動きも困難になってしまう事もあります。運動は確かに大事ですが、病的な痛みの場合、運動を控えたほうが無難といえます。病的な痛みがある時の運動は、胃腸が悪い時にステーキを食べるのと同じようなことになるのです。鍼灸治療と安静(日常生活上の動きは当然OKですが、鍛えるための運動は×です)が、結果として筋肉を含めた体力全体の早期回復の秘訣となるのです。なお、運動は普通の生活ができるようになってからでも十分に間に合います。あせりは体を弱めることが多いので禁物です。痛みの症状によっては、適切な指導のもとに必要な運動を行わなければならない場合もあります。
高野鍼灸リラクセーション・大塚台通信 平成22年2月号より